「愛の無い映画」

ベッドシーンや恋愛描写が少ない映画を探し求めるブログ

新感染 ファイナル・エクスプレス

新感染 ファイナル・エクスプレス

安心度:★★★★★
恋愛シーン:ちょっとあるかなくらい キスシーン:なし セックスシーン:なし
女性の扱い:守られる対象になりがちたけど不愉快ではない
ゾンビ映画のため出血過多、グロい描写あり


原題「부산행(釜山行)」、2016年公開、監督ヨン・サンホ


あらすじ
ソウルのファンドマネージャーであるソグ(コン・ユ)は、妻と別居し、実母と娘のスアン(キム・スアン)の三人暮らしをしている。スアンの誕生日の日、妻のもとへ行きたいというスアンを送るためにソグはスアンと釜山行きの列車に乗り込んだ。
列車が発車する直前、様子のおかしい女性が乗車してきた。これが恐怖の始まりだった。女性はゾンビ化しており、次々と乗客を襲ってはゾンビ化させていくのだ。走り続ける列車のなかで、爆発的に拡大する「感染」から逃れるため、ソグは乗り合わせた男性サンファ(マ・ドンソク)とその妻ソンギョン(チョン・ユミ)、野球チームの一員であるヨングク(チェ・ウシク)やジニ(アン・ソヒ)たちと手を取り合うことになる。果たして無事に、彼らは到着地点までたどり着けるのか。


感想
ゾンビ映画ということで、パニックホラーかと思って身構えていたのですが(怖がり)、思ったより怖くなかったです!戦闘シーンが激しいためホラーというよりはアクションに近かったからかも。そして泣きます。ゾンビ映画で泣くことになるとは思ってもいなかったのですが、最後涙でびちゃびちゃになります。覚悟した方がいいです。
一瞬の隙もなく緻密に描かれたストーリーと、生き残っていく人々の感情の描かれ方が鮮明で、ぐいぐい引き込まれるように見てしまいました。
女性の扱いですが、先頭に立ってゾンビを殴り倒すようなキャラは出てこないものの、足手まといになるようなキャラもいないですし、出来る範囲で懸命に生きようとするキャラクターが多かったです。
恋愛シーンについてですが、高校生の男女間にうっすら恋愛感情があるかな?というのが序盤に示されるだけで、あとはとにかく生き延びるために必死なことが伝われば良くて、愛とか恋とか友情とか区別しなくてもいいんじゃないかというラストでした。

映画のキャッチコピーに「何があっても守り抜け」というものがあるんですが、これはソグ(父)にとってのスアン(娘)であるし、サンファ(夫・父)にとってのソンギョン(妻と娘)でもあるんだなという感じです。
結末はネタバレあり詳細の部分で書きますが、最後のシーンはみんなでやっと繋いだ希望が報われたようで、本当に涙がどばどば出ました。

グロとか血が苦手でなければ超おすすめです!!

 

ネタバレあり詳細感想

 

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【アニメ】バクテン!!

【アニメ】バクテン!!

 

安心度:★★★★★ 

恋愛シーン:なし キスシーン:なし セックスシーン:なし 
女性の扱い:男性メインだが悪くない

原作:四ッ木えんぴつ 2021年公開 監督:黒柳トシマサ

 

あらすじ
双葉翔太郞(cv.土屋神葉)は中学三年の時に偶然見た男子新体操の試合に魅了され、私立蒼秀館高等学校男子新体操部に入部する。中学時代、エースとして名を知らしめていた同級生・美里良夜(cv.石川界人)や、個性的な先輩たちである七ヶ浜政宗(cv.小野大輔)、築館敬助(cv.近藤隆)、女川ながよし(cv.下野紘)、亘理光太郎(cv.神谷浩史)の6人とインターハイを目指す。


感想
すっきりとしたストーリーでとてもみやすかったです!スポーツものですが、暑苦しい根性論もでてこず、バチバチの争いも起こらず、ホモソーシャルな関係でもなく、ただただ主人公が新体操に憧れてがむしゃらに頑張る過程を描いたストーリーでした。鳥がモチーフになっており、時々新体操部の6人の象徴として取り上げられています。モーションアニメを用いた現実的でダイナミックな映像と共に、そういった鳥のイメージシーンも感覚表現のひとつとして取り入れられていて、みていて清々しかったです。
そしてなにより声優さんが豪華です!蒼秀館のメンバーの声優さんももそうそうたるメンツですが、ライバル校でありインハイ優勝校である白鳴大付属高等学校のメンバーも、小西克幸さんをはじめ鈴村健一さん、斉藤壮馬さん、なにより村瀬歩さんが声をあてています。村瀬さんの声の幅にはびっくりしました……
スポーツものにありがちな紅一点のマネージャーの扱いについてですが、特に女性らしさや女性の性役割を際だたせられることなく淡々とマネージャー業務を行うキャラクターだったので、あまり違和感はありませんでした。
一つ気になる点があるとすれば、怪我についての描写です。もしかしたら今後新体操が続けられないかもしれない、という怪我を負ったメンバーが出てきたときの話の掘り下げがちょっと軽いかな?と思いました。以前レビューした「ザ・ライダー」のように、怪我と憧れや夢、生き甲斐の狭間での葛藤というものは果てしないものだと思います。その葛藤だけで一作品出来てしまうくらいだから、深刻な話題だと思うのですが、バクテンではそこまで掘り下げられてはいなかったので、物足りなかったかも。
でもそれが逆に深刻になりすぎずに気楽に観られる作品である一因にもなっていたので、よかったといえばよかったかもしれません。
アニメでは地区大会までのお話で、今後映画化も決まったということで、インターハイ編は映画で楽しみたいと思います。おすすめ!

 

ネタバレあり感想

 

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【アニメ】SK∞(エスケーエイト)

【アニメ】SK∞(エスケーエイト)

安心度:★★★★★
恋愛シーン:なし キスシーン:なし セックスシーン:なし
女性の扱い:ほぼ登場しない 


2021年公開 監督:内海紘子


あらすじ
沖縄の閉鎖された鉱山で深夜に行われるなんでもありの危険な「S」というスケートボードのレースに、主人公・暦(cv.畠中祐)は参加していた。ある日転校してきたランガ(cv.小林千晃)は、なりゆきで暦とSに参加することになる。元々スノーボードの経験があったランガは目を見張るような走りをし、人々を驚かせる。せこい技を使うシャドウ(cv.三宅健太)やスケートボード日本代表候補のMIYA(cv.永塚拓馬)、筋肉勝負のジョー(cv.松本保典)にAIを駆使するチェリー(cv.緑川光)など、個性的なメンバーに囲まれながら、暦とランガはスケートを楽しむが、ある日伝説のスケーター・アダム(cv.子安武人)が暦たちの前に現れて……


感想
主人公たちが仲が良いところがいいな~!というアニメです!スポーツものというと、主人公同士がバチバチしてたり仲が悪かったりすることも多いですが、エスケーエイトはそうではなくて、「楽しいスケートを楽しくやる!」というのがメインの話になってくるので、見ていて安心、ほのぼのできました。
また、スケートのレースの描写もすごく格好よくて、疾走感溢れるシーンに仕上がっています。オープニングもセンスいいし、声優さんも豪華だし、絵もきれいだしとてもおすすめ!!

 

以下ネタバレあり感想

 

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【漫画】さんかく窓の外側は夜(全10巻)

 

【漫画】さんかく窓の外側は夜(全10巻)

安心度:★★★★★ 

恋愛シーン:分かりやすいシーンはなし(一応ジャンルはBL) 

キスシーン:なし セックスシーン:なし 女性の扱い:問題なし
※ホラー要素あり

 

作者:ヤマシタトモコ

 

あらすじ

幽霊が見える書店員・三角(みかど)康介は、ある日、清掃会社の名目で除霊を行っている冷川理人と出会う。冷川に「運命」だと言われ、除霊の助手として働くようになった三角は、仕事をこなすなかで呪いをかけられた人々に出会い、その裏に非浦英莉可という人物の存在がいることを知ることになる。その後おぞましい呪いの実態とは裏腹に、非浦はごく普通の女子高生であることが判明するが、非浦を取り巻く宗教団体や非浦に呪いをかけさせている「先生」の存在が明らかになる。冷川の過酷な過去も絡み合うなかで、三角は冷川をその過去から救えるのか。


感想

怖いものが超苦手なわたしですが、それでもまあ夜ちょっと怖くなるくらいで済む程度のホラーでした!BLレーベルから出ている作品であり、作者のヤマシタトモコさんもこの作品はBLだとおっしゃっていますが、正直そんなにBLという感じはしませんでした(2週目読んでみたところ、1週目に読んだよりはBL感ありました。ネタバレあり感想部分に書いた違和感はやはりありますがそれなりにBL)。
憎しみと呪いと救いの話だと思いますが、登場人物のそれぞれのバックグラウンドが様々で、特に親子関係が話の中心になってきます。親から受け継いだものが子に伝わったり伝わらなかったりして、それがまた新たな関係を築くきっかけになったり、救いになったり、色々あるんですが、その違いなんかも見所かと。
ただこの作品、ホラー・オカルトものということで感覚的な表現が多く、ちょっとわたしには意味が読み取れないところもあって、そこが残念でした。こちら側の感覚とばちっとはまればそういった表現も楽しく読めるのですが……
でもとても面白い作品なのでおすすめです!恋愛によらない男女の仲のよさ・信頼関係も見られるので是非!

 


以下ネタバレあり感想

 

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パッドマン 5億人の女性を救った男

パッドマン 5億人の女性を救った男

安心度:★★★★
恋愛シーン:ちょっとあり キスシーン:あり セックスシーン:なし
女性の扱い:実話ベースの作品なのでよくはない

原作:トゥインクル・カンナー「ザ・レジェンド・オブ・ラクシュミ・プラサード」
公開2018年 監督:R・バールキ


あらすじ
発明好きのラクシュミカント(アクシャイ・クマール)は新婚の妻・ガヤトリ(ラーディカー・アープテー)が生理の度に不衛生な布を使って出血を防いでいることを知り、衛生的なナプキンをプレゼントしたいと思うがナプキンは高価であり、また男性が生理に関わることがタブーとされていたためガヤトリに拒まれてしまう。しかし不衛生な布を使うことは命に関わることから、ラクシュミは自分で布と綿を購入し自作のナプキンを作り、試行錯誤を繰り返すがうまく行かない。しまいには自作していることが周囲にばれ、村人たちからの信頼を失ってしまうことになる。ガヤトリとも離婚をさせられそうになり、村をでることになりながらも、ラクシュミは安価で衛生的なナプキンを作ることに全力を尽くす。


感想
生理と貧困について話題になったときに観ました。実話ベースの作品ということですが、波瀾万丈で起承転結もしっかりしていて面白いです。
生理を恥としてちゃんとケアできない状況や、男性は触れてはならないものにされているところなどは今の日本にも通じるところがあり、興味深かったですし、そのタブーを乗り越えるためにラクシュミがとったアプローチが、マンスプレイニングや自己満足で終わることなく「まずは自分で試す」から始まるチャレンジであったところには感心しました。
恋愛面についてですが、後半登場する女性とラクシュミがいい雰囲気になってキスをするシーンがあります。ちょっと唐突な気もしますが、苦楽を共にした二人の絆を感じさせるシーンで、そんなにいやな気持ちにはなりませんでした。
インドの状況から学べるドキュメンタリーな面もあり、普通に物語として面白くもあり、またインド映画ということで歌が所々に入るエンタメ性もありの作品でした!

 

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【アニメ】ガイコツ書店員本田さん

【アニメ】ガイコツ書店員本田さん

安心度:★★★★★
恋愛:なし キスシーン:なし セックスシーン:なし 女性の扱い:男性との差なし

 

原作:本田「ガイコツ書店員本田さん」2018年 監督:轟おうる

 

あらすじ
とある書店のコミックコーナーで10年働いた経歴を持つ本田さんのエッセイ!ガイコツ姿で描かれる本田さん(cv.斉藤壮馬)などの個性的な書店員や奇抜なお客様、日々様々な出来事が起きる書店の様子を描いた作品。


感想
一話が10分程度で、12話構成だったのですごく手軽に観られました!ギャグテイストで話のテンポもよく、とても楽しかったです。書店というと馴染みがある場所でありつつ裏でなにやってるのかは実はよく知らない場所だったので、エッセイ形式のこの作品はとても興味深かったです。
スルスル動くアニメではなく、フラッシュアニメの手法をとっているというこのアニメですが、その画面の動かなさが逆に観やすく、ストーリーの展開に味を与えていたと思います。
とにかく登場人物が個性的で見ていて飽きない!見終わってしまったときは寂しさを感じるくらいでした。おすすめ!


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マッドマックス 怒りのデス・ロード

マッドマックス 怒りのデス・ロード

安心度:★★★★★
恋愛:なし キスシーン:なし セックスシーン:なし 女性の扱い:画期的
※流血・人が死ぬシーン多


あらすじ
核戦争で荒廃した世界を彷徨っていたマックス(トム・ハーディ)は、水の保有により砂漠を支配するイモータン・ジョー(ヒュー・キース=バーン)の砦に誘拐される。マックスが輸血が必要な戦士・ニュークス(ニコラス・ホルト)の輸血用として体を拘束されている頃、ジョーの子産み女(ワイブズ)であるスプレンディド(ロージー・ハンティントン=ホワイトレイ)、ケイパブル(ライリー・キーオ)、トースト(ゾーイ・クラビッツ)、ダグ(アビー・リー)、フラジール(コートニー・イートン)の逃走を手助けし理想の場所である「緑の地」へと向かう旅を目論むフュリオサ(シャーリーズ・セロン)が砦の大隊長としてタンクローリーを発車させようとしていた。果たしてマックスはどうなるのか、フュリオサたちの悲願は叶うのか。


原題「Mad Max:Fury Road」2015年公開 監督:ジョージ・ミラー

 

感想
上映当時、「行って帰ってくる物語」と言われていたように、安息の地「緑の地」を求めて「行って」「帰ってくる」話なんですが、行きも帰りもカーアクションがすごい!ものすごく激しく派手なカーアクションと、一方で登場人物たちの心理の変化や成長が繊細に描かれていて、カーアクションだけ楽しむのもよし、人物に注目するのもよし、沢山の楽しみ方があると思います。わたしはワイブズたちのそれぞれが成長していくところがとてもすきです。トーストちゃんが強くてすき。
フェミニズムの先生にもきちんと教えを請うて作られた作品ということで、結構その辺りはしっかりした作りになっています。中心人物に女性が多いし、成長も著しいのでそちらに目を惹かれますが、マックスなどの男性も含めて、「一人の、生きる人間として立ち直っていく物語」と言っても良いと思います。地球環境が悪化し、イモータンジョーの支配する世界で、人としての尊厳を失ってしまった人々が砂漠を駆け抜けながら自分で生きていくこととは何かを見つけ直す物語というか。その過程では沢山失われるものもあるのですが、それも含めて一人一人の血肉になっていくかんじがしました。

結構アクションが激しくて人もバンバン無情に死んでいくので、苦手な方は苦手かもしれませんが、派手なカーチェイスや音楽は興奮しますし、見終わったあとの希望が持てる感じはとてもおすすめです!それから、フェミニズムの観点からも、「こんな物語が作られるようになったんだ」という感動がありますので、二重まる!


以下ネタバレあり感想

 

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