【漫画】チキタ★GUGU(全8巻)
安心度:★★★★
恋愛シーン:ほぼなし キスシーン:(恋愛的でないものが)あり セックスシーン:なし
女性の扱い:自立した生活をしている、酷い目に遭うキャラクターもいる
※グロテスクな描写あり、残酷な描写あり、人が大量に死ぬシーンあり
作者:TONO
連載期間:雑誌「ネムキ」1997年9月号〜2007年5月号
あらすじ
人を喰う存在である人喰い、ラー・ラム・デラムに家族を食われてしまったチキタ・グーグーは、人喰いにとってとんでもなく「不味い」存在であったがために生き延びた。そんなチキタは、「不味い人間は百年大切に飼育するとたいそう美味になる」という伝説を信じたラー・ラム・デラムに飼育されることになる。しかしともに暮らしていくうちに、二人の関係には変化が訪れて……?!
人喰い仲間のクリップとオルグ、妖しい屋繋がりのニッケルなど、仲良くできる人たちも増えていくなかで、それぞれはどんな人生を選び、誰とともに生きることを選ぶのか。
感想
可愛い絵柄ですが描かれていることは結構シビアだったりグロテスクだったりするチキタ★GUGU。
でも、どんな姿にもなれるという設定のラーが、基本的には美少年か可愛いクマの姿をとっているので、話はシリアスでも、コロコロと可愛らしいクマに癒やされたりして8巻分するするっと読めてしまうと思います。ラーとチキタは始終仲良くしていて、終盤ちょっとイチャイチャが足りなかったかなって思うところもあるんですが、それでも充分仲が良いです。
主題はチキタとラー・ラム・デラムの関係性についてですが、脇役のクリップとオルグ、妖しい屋のニッケルとキサス、それからバランスとサデュースたちも加わって、相互に影響し合いながら変化していきます。ラー・ラム・デラムは仲間たちに囲まれてどんどん悲しむことを知り、喜ぶことを知り、まるで人間のようになっていきます。最初は無邪気に残酷な酷い人喰いだったのに……。
人間らしい心を持つにつれ、ラーは人喰いであったことを後悔し始めます。チキタがラーを「許さない」と言うから。そうやってチキタに心を寄せ、チキタからも心を寄せられたラーは、自分の出生の秘密を知り、自分の存在と人類(チキタたち)の安寧を秤にかけたとき、どういう選択をするのか。
そこにたくさんの愛が詰まっていると思いますし、選択の末ラーが今までのようにはできなくなってしまっても、ずっとそばにいることを選んだチキタも、ラーが欲しがっていた無条件の愛を持っているんだなと思いました。
作中では、めちゃくちゃ強い人喰いがばんばんでてきますが、その一方で、人間の強さも描かれています。人間であるバランスやサデュースたちの営みも、馬鹿にすることのできない、強い力を持った生なんだということが描かれています。
こんなかんじで、チキタとラーの関係だけじゃなく、クリップとオルグ、バランスとサデュース、ニッケルとチキタとラーなど、いろいろな組み合わせの人生、そして愛がどれも胸に刺さるお話でした。
ただ、最後がいわゆる「繁殖エンド」なので、わたしは気にならなかったのですが、このブログ的にはメモっとかないとなと思い、星は4つにしました。
ネタバレあり感想
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