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恋愛描写やベッドシーン、ジェンダー規範のきつい作品が苦手な私が、ここちよく安心して見られる映画を探して、鑑賞した映画の感想や「安心度」をのこしておくためのブログです。
◯恋愛描写の程度 ◯キスシーンの有無 ◯ベッドシーンの有無
◯作中のジェンダー観 ◯配役のバランス(男女比等)
などから、わたし基準で安全度を判定し、★が多ければ多いほど安心であると表記します(最大で5)。
ネタバレ部分、ストーリーの詳細は「続きを読む」以降に書く予定です。
個人的な記録をするとともに、わたしと同じように恋愛描写やベッドシーン、ジェンダー観が気になる方の参考になれば幸いです。
この映画おすすめだよというのがあれば、是非教えてください。
以降わたしの苦手な描写についてです。判断基準はこれによります。
続きを読むカラオケ行こ!
カラオケ行こ!
安心度:★★★★★
恋愛シーン:なし キスシーン:なし セックスシーン:なし
女性の扱い:特筆することがない
あらすじ
中学3年生の岡聡実は、合唱コンクールの帰りにヤクザ・成田狂児に捕まり、カラオケに連れて行かれる。狂児の組では、毎年カラオケ大会が開かれ、最下位になった人は組長によって入れ墨を入れられるという罰ゲームがあるため、狂児は最下位を回避すべく、聡実に歌を教えてほしいと頼んだのだった。勝負曲であるX JAPANの「紅」にこだわる狂児に嫌々ながら付き合う聡実だったが、いつしか関係は変わっていき……。
感想
原作が好きだったんだけど、聡実役の役者さんがリアル中学生と知り、やばいんじゃないか……と危惧していた作品。実際見てみたら、役者さんがうまいというのもあって、原作では渋い絵柄とコメディタッチの展開で薄まっていた、「中学生とヤクザが接近する怖さ」がひしひしと感じられる映像になっており、笑いとか萌えとかよりひたすら怖さが勝ってしまった。
狂児のヤクザ感はあまり強くはないけど、とにかく聡実くんの幼さが感じられ、まず「大人と子ども」の関係が危うく映ったし、ヤクザのみなさんが出てくると、その柄の悪さに見ているこっちまでビビってしまい、「聡実くん逃げてくれ〜〜〜」という気になった。
そんな怖さを中和してくれていたのは後輩である和田の存在で、原作に比べてキャラが立っており出番も多く、見た目・言動共に健全な中学生としてほっこりさせてくれた。聡実と狂児の親密度が上がり、怖さが増していく中で和田が度々登場して場を和ませていたと思う。
映像化することで、ギャグが笑えなくなってしまったなと感じたけど、映像化にもいいところがあって、それが歌唱シーン。狂児の「裏声が気持ち悪い」紅が聞けたり、ヤクザの皆さんの個性豊な選曲、歌声が聞けて面白かった。結構有名な曲ばかりが使われているので、はやりに疎くても楽しめると思う。聡実の歌う紅もすごくよくて、変声期の声の上ずりや掠れなどがリアルですごかった。ただこの作品は、聡実がリアルになればなるほど恐怖が増すタイプなので、すごいと思うと同時にかなり怖かった。
オリジナル設定があるけど、原作が好きな方でも楽しめる完成度だと思う。ただ、原作で漂っていたブロマンスを楽しんで見ようとすると、あまりにも聡実が幼く、狂児が大人のヤクザなので、躊躇われるかもしれない。わたしは怖かった。そこに折り合いをつけられればいいと思う。
【漫画】違国日記
【漫画】違国日記(全11巻)
安心度:★★★★
恋愛シーン:男女で体の関係を持っている組み合わせがいるが恋愛ではなさそう キスシーン:ちょっとあり セックスシーン:匂わす程度に少しあり
女性の扱い:安心して読める、男女の差なし、自立した女性がメインキャラクターにいる
作者:ヤマシタトモコ
初版発行〜完結:2017年11月8日〜2023年8月8日
掲載雑誌:フィール・ヤング
あらすじ
人見知りな少女小説作家・高代槙生は、両親を交通事故でなくした高校生になる姪・田汲朝を引き取ることになった。槙生とは逆に人見知りをしない朝と二人、それぞれの孤独を抱えながら手探りで同居を始めるが……。
感想
一言で言ってしまえば「変人」になってしまうのかもしれない、繊細で苛烈で我の強い、孤独を愛する槙生と、少し鈍くて寂しがり屋で、でも人からの好意を素直に受け取れる朝の、凸凹コンビの同居ストーリーでした。お互い交わらないようでいて、でも不器用なりに寄り添って生きていく様子は、陳腐だけど愛ってことなんだよなあと思います。作品では、槙生と朝の間の愛だけではなく、家族愛、恋愛、友人との愛、自己愛その他色々についても描かれていたし、「愛されないこと」にも言及されていたのが印象的です。
最初はぎこちなく感じた朝と槙生の関係ですが、思春期の、大人になりかけているけどまだまだ自由な子どもと、大人になってもうしばらく経ち責任感のある大人の二人の距離感として、かなり理想的だなと思いました。
描かれていたのは朝と槙生の関係性だけではなくて、朝には朝の、槙生には槙生の人間関係があるのですが、性格の違いや年相応さが窺えてよかったです。
わたしが好きだったのは、朝とその友だちの笑いのツボがすごくリアルに若い人っぽかったところです。箸が転げても笑う世代だった昔の自分を思い出しました。違国日記(もしくはヤマシタトモコ先生の作品)ではちょっとした笑い声も書き込まれているのですが、その笑いのタイミングが学生である朝と大人の槙生ではぜんぜん違うところとかがしみじみとよかったです。
違国日記は、ストーリーを大きく捉えても良いところがたくさんあるのですが、なんかそういう、細かい良いポイントも沢山あって、語り尽くせないような作品だなと思います。
また、一度目では理解できなかったところが何度か読むと分かったりしたので、繰り返し読む楽しみがある作品でもあると思います。
さらりと性的マイノリティや、今少数派とされるひとたちがでてきたりするところもめっちゃいい。
孤独だな、居場所がないな、人と違うのかも、もしくは凡庸すぎるのかもと悩む人達の居場所になるような作品だと思います。
おすすめ!
ネタバレあり感想
続きを読むニモーナ
ニモーナ
安心度:★★★★★
恋愛シーン:全くなし キスシーン:あり(同性カップル) セックスシーン:なし
女性の扱い:主要キャラに女性がいる、性別が分からないキャラクターもいる
原題「Nimona」 2023年公開
監督:ニック・ブルーノ、トロイ・クアン
原作:ND・スティーブンソン
あらすじ
千年前にモンスターを倒した英雄の子孫が街を守る王国で、初の庶民の出のヒーロー・バリスターが誕生する……はずだったが、女王殺しの濡れ衣を着せられ、追放されてしまう。
恋人のアンブロシウスにも疑われて追われる身になったバリスターは、何にでも自由に変身できる少女・ニモーナと出会い、その凶暴さに振り回されながらも、真犯人を見つけるために動き出す。
感想
騎士たちが王国を守るというクラシックな制度と、近未来的な世界観がマッチしたポップでキュートな雰囲気の中で、濡れ衣を着せられたバル(バリスター)とニモーナが徐々に絆を深めていく様子が心温められる……と思いきや、マイノリティへの差別問題に重なるような出来事が起きていくこの作品は、ポップさに引き込まれてどんどん観られるけれど、鑑賞後ニモーナのことも現実の差別のことも深く考えさせられるような仕上がりになっていました。
なんにでも変身できるニモーナを「モンスター」と呼ぶ周囲のなかで、それでも「わたしはニモーナ」と言うニモーナはすごく強いけど、その強さは絶対のものじゃなくて、崩れ去ってしまう脆さと怖さがあるんだっていうことを、わたしたちは知らなければならないし、そんな恐怖を本人たちに抱かせないような世界にしなくてはならないとも強く思わせる展開でした。ラストは、ネタバレになるので後で書くとして……。
作中の音楽や背景などは本当に色とりどりかっこいいし、アニメ独特の表情の豊かさもあって、シリアスな場面でもサクッと観られてしまうテンポの良さがあります。
アニメだから親しみやすいけど、デザインとかもかっこよくて、大人にこそ観てほしいと思いました。
わたしは字幕で観ていますが、吹替版も機会があれば観たいです。
そこまで長い作品でもないので、肩肘張らずに観られると思います。
おすすめ!
ネタバレあり感想
続きを読む【アニメ】ヒカルの碁
【アニメ】ヒカルの碁
安心度:★★★★★
恋愛シーン:なし キスシーン:なし セックスシーン:なし
女性の扱い:男性のサポート役とか華やかさを添える存在にならない、よい
原作:ほったゆみ 漫画:小畑健
監督:西澤晋、神谷純、えんどうてつや
放送:2001〜2003年
あらすじ
平凡な小学生・進藤ヒカルは、ある人祖父の家で古い碁盤を見つける。その碁盤には、非業の死を遂げた平安時代の天才碁打ち・藤原佐為の霊が宿っていた。佐為に取り憑かれたヒカルは、囲碁の知識はなかったものの、佐為の碁を打ちたいという希望を叶えるため、囲碁を始める。初めて囲碁を打ちに行った碁会所で、小学生にしてプロの実力を持つという塔矢アキラと運命の出会いを果たし、徐々にヒカルは自分で碁を打ちたいと望むようになる。
感想
めちゃくちゃ面白かったです!!全75話+OVA2話の構成だったのですが、一気に見てしまいました。
囲碁と言うと、座ってパチパチ打つ、動きの少ない競技というイメージですが、ヒカルの碁では石を置くときのスピード感や思考中の臨場感があり、スポーツ競技ものに引けを取らないほどのワクワクが楽しめました。
わたしは全く囲碁の知識がありませんが、なくてもストーリーを理解するのには全く影響はありません。わかっていたらもっと楽しいと思いますし、わたしもヒカルの碁をきっかけに囲碁の勉強を始めたのですが、分からないままでも大丈夫です。
恋愛の面ですが、原作がジャンプということでかなり警戒していました。最初からヒロインポジションになるのだろうなという女の子も出ていたのですが、心配はいらず、主人公のヒカルを始め主役級のキャラクターは誰ともロマンスがありません。主人公たちの年齢が低いせいかなとも思うのですが(小学6年生〜中学3年生)、ヒカルが落ち込んでシリアスになったときも、卒業式でも、ロマンスは入ってきません。安心して観てください!
ただ、脇役で女性とデートしている人が二人程います。一人はキャラ付けとしてまあいいかなという感じなんですが、もう一人はアニメオリジナルの演出らしく、わたしとしては余計だったな……と感じました。でもそれくらいなので、ダメージは大きくないです。
女性キャラクターですが、メイン級で出てくるのはヒロインポジションになりそうだった子と、院生仲間の二人です。どちらも、競技ものでありがちになってしまうマネージャーポジションや、解説をさせられる・説明を受けるキャラクターではなく、それぞれが囲碁を打つ人として主人公と関わっていきます。他の男性キャラに比べるとあまり重要な役割にはなりませんが、素敵なキャラたちだと感じました。
ストーリーの面ですが、設定が天才か!?というほど面白く、一話からすでに面白いので、観始めたら止まらなくなること間違いなしです。主人公ヒカルはポジティブで能天気、ヒカルに取り憑いた佐為はお茶目というペアなので、競技もののシビアな描写はありつつ、中盤までかなり明るい雰囲気で話は進みます。かなしい展開もあるのですが、基本的に登場人物たちがみな善良で囲碁に対して熱い人たちなので、そちらのパワーのほうが強いですし、競技ものでライバル同士バチバチすることがあっても、ギスギス嫌な感じではありません。爽やかな気持ちで見ることができます(追記:と書いたのですが、ギスギスがないのは主人公のヒカルくんの周囲だけで、ライバルのアキラくんは結構ギスギスに巻き込まれがちです。ただアキラくんはメンタル激強なのであまり心配なく観られました)。
かなりオススメです!!
ネタバレあり感想
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新感染半島 ファイナル・ステージ
新感染半島 ファイナル・ステージ
安心度:★★★★★
恋愛シーン:全くなし キスシーン:なし セックスシーン:なし
女性の扱い:男性と差はなし、アクションシーン多め
※ゾンビ映画のため出血過多、グロい描写あり
原題「반도(半島)」 2020年公開、監督:ヨン・サンホ
あらすじ
人間を凶暴化させる謎のウイルスが発生してから4年。韓国は国家としての機能を失っていた。
元軍人のジョンソクは、パンデミック発生当初、姉一家と韓国を脱出しようとしたが、乗っていた船に感染者が居合わせていたため姉と甥を失ってしまっていた。その後香港に逃れたが落ちぶれてしまい、マフィアからソウルにある2000ドルを回収する仕事を受けることになる。姉の元夫であるチョルミンと共に朝鮮半島に上陸するが、感染者や半島で生き残っていた武装集団631部隊に襲撃されドルが積まれたトラック回収に失敗してしまう。しかし、その様子を見ていたジュニ、ユジン姉妹によって助け出され、その母のミンジョンのところへ運ばれる。なんとミンジョン一家は、四年前、ジョンソクが姉一家と半島を脱出する際に見捨てた人たちの生き残りだった。今までの経緯をミンジョンに話したジョンソクは、娘たちを半島から脱出させたいと願うミンジョンと共に、631部隊のもとへトラック奪還へと向かう。
感想
「新感染ファイナル・エクスプレス」の続編ということで、パニック系を想像していたのですが、意外とパニックシーンは少なく、ゾンビも人間対人間の戦いのフィールドにおける障害物みたいな扱いで、一作目とは少し雰囲気が違うなという印象でした。
でも面白かったですよ!このブログとして一番推したいのは、未亡人・ミンジョンと過去あり元軍人・ジョンソクという、他の映画だったら絶対にロマンスが発生するだろうという二人にロマンスがまっっっったく発生しないところ!!どちらかに想い人がいるという設定もなく、本当に恋愛要素が全然ない作品になっています。しかし家族愛は前作に引き続きしっかりあって、愛と悲しみの両方が味わえる作りになっていました。
家族愛も、愛は愛なんですけど、母親だから○○とか、お姉さんだから××とか、そういうジェンダーバイアスもなくてよかったです。
今作は、ゾンビに対する人間がみんな武装しているということもあって(前作は肉弾戦でした)、よりサバイバルゲームっぽさが出ています。そして、ゾンビと戦うよりもどちらかというと人間同士で争っていることのほうが多いので、そういう意味で前述の通りあまりパニック映画っぽくないなと思いました。舞台となる韓国では、すでに全体が感染し終わっていて、前作みたいに人間がどんどんゾンビになっていくという描写もほとんどありません。そこが前作との大きな違いの一つかも。
二つ目の違いは、子どもが守られるだけの存在ではないところです。この作品に出てくるジュニ、ユジンは、感染拡大後の韓国を生き抜いてきた子どもたちであり、ゾンビとの戦い方を知っている子どもたちです。人を助けることもできるし、母親の助太刀をすることもできる、かっこいい存在でした。
それから、もう一つの大きな違いは、主人公たちが諦めないところです。前作は、自分が犠牲になってでも家族を助ける、というところが感動ポイントになっていて、それはそれですごくよかったのですが、今作では諦めない、努力するということが一つのキーワードになっていて、最後の展開ではそこが報われるよい結末になっています。
パニック映画としてはちょっと物足りないかも?という気はするのですが、恋愛要素なしの映画が見たくて、さらに銃撃戦やカーアクションが派手なものが見たい!というときにとてもおすすめできる作品だと思います。
出てくる子どもがゾンビに慣れている天真爛漫なキャラということもあり、前作に比べて癒やしのある雰囲気になっているのも◎。
悪役も個性的なキャラクターで、満足感がありました。
おすすめ!
以下ネタバレあり感想
【ドラマ】HEARTSTOPPER ハートストッパー
【ドラマ】HEARTSTOPPER ハートストッパー
安心度:★★★
恋愛シーン:全編にわたってあり キスシーン:いっぱいあり セックスシーン:なし
女性の扱い:女性キャラにもスポットがあたっていてよい、トランス女性が登場する
原作:アリス・オズマン「HEARTSTOPPER」
監督:ユーロス・リン 2022年
あらすじ
チャーリーは、ゲイであることを理由に学校でいじめられていた。それでも、友達のタオやアイザックと共に日々過ごし、ベンと秘密の関係を持っていた。ある日、新しいクラスでニックと隣の席になる。最初は住む世界が違うと苦手意識を持っていたが、だんだん親しくなり、ニックのことを好きになってしまう。タオにやめておいたほうがいいと忠告されながらも二人はどんどん距離を縮め、「付き合う」とまではいかないけれど、両思いになる。ニックも、最初は自身の変化に戸惑うも、レズビアンカップルのタラとダーシーを見て決心し、チャーリーと向き合う。タオはニックを警戒しながら、トランスジェンダーのエルと共にチャーリーとの関係を続けていた。ニックが、自分のセクシャリティに向き合い、二人で幸せになるまでのお話。
感想
ロマンスものなので、当然のように恋愛が主軸にあるし、このブログにはそぐわないかな、とも思ったのですが、ジェンダーやセクシュアリティの面ではすごく安心できる作品で、ストーリーもとてもよかったのでレビューします!
原作は話題のLGBTQの作品で、ゲイ、レズビアン、トランスジェンダーなどが登場します。とにかく甘酸っぱくて、青春!という感じ。こういうLGBTQの物語って当事者が辛い目に遭うことが多く、見ていても悲しい気持ちになることが多いですが、この作品は明るい気持ちになれたり、希望を持てる作りになっています。いじめや差別の描写もあるので、悲しいところは悲しいのですが、祝福されている!と感じられる点も多くて、おすすめです。そのあたりは以前レビューした「THE PROM」とかと似ているかもしれません。
ネットフリックス配信の全8話構成で、1話30分ほどなので、サクッと観られます。第2シーズンの制作も決定していますよ!
作中、ニックとチャーリーが触れ合うシーンなどに、アニメーションの演出が入るんですが、それがとってもかわいくて、癒やされます。
とにかく甘酸っぱくてときめくこの作品、観ながらニヤニヤしそうになるのを耐えるので必死でした。前向きになれるLGBTQ作品を探している方にもおすすめ!自分のセクシュアリティを決めかねている方、自分のセクシャリティに悩んでいる方にも、おすすめしたいです。
ネタバレあり感想
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