「愛の無い映画」

ベッドシーンや恋愛描写が少ない映画を探し求めるブログ

マッドマックス 怒りのデス・ロード

マッドマックス 怒りのデス・ロード

安心度:★★★★★
恋愛:なし キスシーン:なし セックスシーン:なし 女性の扱い:画期的
※流血・人が死ぬシーン多


あらすじ
核戦争で荒廃した世界を彷徨っていたマックス(トム・ハーディ)は、水の保有により砂漠を支配するイモータン・ジョー(ヒュー・キース=バーン)の砦に誘拐される。マックスが輸血が必要な戦士・ニュークス(ニコラス・ホルト)の輸血用として体を拘束されている頃、ジョーの子産み女(ワイブズ)であるスプレンディド(ロージー・ハンティントン=ホワイトレイ)、ケイパブル(ライリー・キーオ)、トースト(ゾーイ・クラビッツ)、ダグ(アビー・リー)、フラジール(コートニー・イートン)の逃走を手助けし理想の場所である「緑の地」へと向かう旅を目論むフュリオサ(シャーリーズ・セロン)が砦の大隊長としてタンクローリーを発車させようとしていた。果たしてマックスはどうなるのか、フュリオサたちの悲願は叶うのか。


原題「Mad Max:Fury Road」2015年公開 監督:ジョージ・ミラー

 

感想
上映当時、「行って帰ってくる物語」と言われていたように、安息の地「緑の地」を求めて「行って」「帰ってくる」話なんですが、行きも帰りもカーアクションがすごい!ものすごく激しく派手なカーアクションと、一方で登場人物たちの心理の変化や成長が繊細に描かれていて、カーアクションだけ楽しむのもよし、人物に注目するのもよし、沢山の楽しみ方があると思います。わたしはワイブズたちのそれぞれが成長していくところがとてもすきです。トーストちゃんが強くてすき。
フェミニズムの先生にもきちんと教えを請うて作られた作品ということで、結構その辺りはしっかりした作りになっています。中心人物に女性が多いし、成長も著しいのでそちらに目を惹かれますが、マックスなどの男性も含めて、「一人の、生きる人間として立ち直っていく物語」と言っても良いと思います。地球環境が悪化し、イモータンジョーの支配する世界で、人としての尊厳を失ってしまった人々が砂漠を駆け抜けながら自分で生きていくこととは何かを見つけ直す物語というか。その過程では沢山失われるものもあるのですが、それも含めて一人一人の血肉になっていくかんじがしました。

結構アクションが激しくて人もバンバン無情に死んでいくので、苦手な方は苦手かもしれませんが、派手なカーチェイスや音楽は興奮しますし、見終わったあとの希望が持てる感じはとてもおすすめです!それから、フェミニズムの観点からも、「こんな物語が作られるようになったんだ」という感動がありますので、二重まる!


以下ネタバレあり感想

 

 

 


この映画は上映当時劇場で観ていたのですが、そのとき気になっていたことは「マックスはヒーローなのか」ということと「ケイパブルとニュークスの関係性」でした。答えはでないままでしたが(Wikipediaを見ると後者は恋愛感情を持った同士と書かれているんですけど納得いかなくて)、最近観直して思ったのは、「マックスはヒーローではなく偶然生き延びたいと思った人たち同士が出会った内の一人」で、ケイパブルとニュークスは「お互いモノではなく人間としてはじめて認識した信頼できる異性」ってかんじかな。特に後者は恋愛関係とか母子関係とか色々考察がありましたが、どれもしっくりきていなかったんですよね。もしかしたらフュリオサにとってのマックスもそんな感じなのかもしれません。背中を預けても良いと思えるはじめての異性というか。とにかくあの世界では女性が男性にモノとして扱われていて、女性も男性を人間ではなくあくまで「支配者」としか見ていなくて、分断が激しかったと思うんですよね。お互いが憎しみや蔑みの対象であったり。その中でマックスやニュークスはフュリオサやワイブズにとっていままでとは違った存在になってはいたのだと思います。そこを「ヒーロー」と言い表す人もいると思うけど、わたしは少し違うかなって感じです。

ワイブズたちがそれぞれ行きと帰りで得たものがあったのがとても感動的でした。生きる術や度胸、異なるものへの慈しみの気持ちや信仰心など。元々とても勇敢だったスプレンディドが生きていたら、何を得ただろうと考えると悲しいですね。

ニュークスの最後というか、帰り道の犠牲についてですが、鉄馬の女たち方式の弔い方をされてみんな死んでいったのが救いだったなと思います。ニュークスは共に生きていくことができなかったのは残念ですが、死ぬことで生きるイモータンジョーのやり方ではなく、生きたことを覚えていてもらう、魂を拾ってもらう鉄馬の女たちのやり方で最後を迎えられてよかった。

しかしこの映画はやはり劇場で観たい映画ですね~家で観るのとでは迫力が全然違う!できれば再上映などで劇場で観てほしい作品です!