「愛の無い映画」

ベッドシーンや恋愛描写が少ない映画を探し求めるブログ

ザ・ライダー

ザ・ライダー

安心度:★★★★★
恋愛:なし キスシーン:なし セックスシーン:なし 女性の扱い:いうことなし
※動物が痛い目に遇うシーンがあります


あらすじ
ロデオの試合中に落馬をして頭に大傷を負い、後遺症まで残ってしまったブレイディー(ティム・ジャンドロー)。今まで馬に乗ることが当たり前だった生活から、一転馬に乗れない生活へと変わってしまう。また馬に乗りたい気持ちと落馬への恐怖、後遺症の悪化への懸念、これからの生活などとの葛藤のなか、ブレイディーは何を選ぶのか。


2018年公開 監督:クロエ・ジャオ

 

感想
とても映像が美しい映画でした。台詞が少なく、画で語りかけてくるような作品。ブレイディーが暮らす草原の美しさや、一緒に暮らす馬たちの毛並みの艶やかさ、後遺症のために馬に乗れず仕方なく働きに出掛けたスーパーのそっけなさ、病院の無機質さ、ロデオの試合場の熱気に溢れた雰囲気など、そういう風景たちのコントラストが物語を作り、話が進んでいく作品でした。実話をもとにしたこの作品ですが、キャストも本人自身ということでびっくりしました。演技をやったことない人たちだと思うんですけど、違和感のない仕上がり。誰かの感想を読むより観てほしい!おすすめです。

 

ネタバレあり感想

 

 

 

 


ところで評価基準の「ジェンダー」のところを、「女性の扱い」に変えました。自分で「ジェンダー」って使っててよく分からなくなってきたので……分かりやすく……

さて本題ですが、わたしのタイムラインですごく評価が高かったので観ました。最初は、感動したんだけどどこに感動したのか言語化できずにいたのですが、いくつかレビューを見て整理できたのでブログを書いています。ブレイディー自体の言動にはそんなに波があるわけではないというか、いかにも芝居・物語だという起承転結はないので、一見坦々として見えるのですが、情景のコントラストがブレイディーの心情とぴったりリンクしており、スーパーで働くシーンとかは特にブレイディーの葛藤とか落ち込みを表していると思います。そんな感じでおおげさではなくすすむけども、ブレイディーの気持ちの動きを豊かに表現した映像はとても美しいです。

特に馬!馬の綺麗さには驚きです。艶々。かわいい。

それから、やはり驚いたのはキャストが実話の本人たちだったということ。演技経験ないんだ!という驚きと、レーンについて、レーンは元エピソードの当事者ではなく、ブレイディーの知り合いで似たような経験をした人(うまく言えないですが…)だったということ。ということは、落馬して全身麻痺状態になってしまった人というのはあの世界では珍しくないことなのかな……と考えて、壮絶な世界だなと思いました。

命を賭ける遊戯が娯楽であり、かつ重要なアイデンティティである世界、それしかない世界でブレイディーが最後ロデオではなく家族をとったのは、ハッピーエンドと言えるのかどうか分かりませんが、実話だから全体的に全てがハッピーエンドではないし、それが世界と折り合いをつけて「生きていく」ということなんだろうな、と思いました。

配信で観たのですが、大きなスクリーンで観たい映画でした!