「愛の無い映画」

ベッドシーンや恋愛描写が少ない映画を探し求めるブログ

インターステラー

インターステラー

 

安心度★★★★★

恋愛描写:なし  キス:あり(一瞬)  ベッドシーン:なし

ジェンダー:フラット  配役:◎

 

原題「InterStellar」 2014年公開  監督:クリストファー・ノーラン

 

あらすじ

環境変化・疫病によって人が住めない星になりつつある地球。元エンジニアのジョセフ・クーパー(マシュー・マコノヒー)とその娘マーフ(マッケンジー・フォイジェシカ・チャステイン)は、あるときNASAのメンバーと接触し、人類が居住可能な新たな星を、別の銀河にもとめる計画-ラザロ計画を知る。その計画のパイロットに選ばれたクーパーは、家族を地球に残し、アメリア・ブラント(アン・ハサウェイ)たちとともに宇宙空間へと飛び立っていく。帰還できるのはいつなのか、成功するのか、何もかも分からないけれど、人類の未来を背負ったこのミッションは一体どうなるのか。

 

感想

 宇宙でがんばる父と、地球でがんばる娘の物語。恋愛描写はなく、安心度はとても高いです。

 父と娘の関係を描くとき、父の家庭内での権力の強さや、説教臭い感じが前に出てきてしまうものもありますが、この作品では父と娘の関係はフラットで、二人の間の「愛」にもいやなかんじはありませんでした。

 キスは、マーフがします。ロマンチックな演出というより、よろこびのキスって感じで、しかも一瞬なので、全然しんどいとは感じませんでした。

 宇宙へ飛び立つクルーの中では、アメリア・ブラントだけが女性ですが、アメリアが宇宙船の中で誰かの恋愛対象になったり、女性として低く見られたりすることはありません。女性なんだから科学をするのはおかしい、という価値観は全く出てこなくて、NASAのなかで女性は男性と区別されることなく自由に働いている様子が描かれています。マーフも、小さい頃から科学を学ぶことに熱心ですし、女が科学を勉強していると咎められるシーンもありません。

 ちょっとジェンダー的に気になるのは、クーパーの息子(マーフの兄)ドナルドが、「男として~」と言われるシーンがあるところと、ドナルドとその妻・息子との関係かなと思うのですが、それもあえて言うなら、というレベルだったので、嫌な気持ちにはなりませんでしたし、そこまで注目することでもないかなという気はします。

 人間の力なんて及ばない、未知の領域・宇宙で、「愛のパワー」は通用するのか?家族との絆、恋人との絆、仲間としての絆はどうなっていくのか?よくある愛のパワーは無敵!ということでもなく、愛なんて何の役にも立たない、ということでもなく、宇宙の壮大さと、人間の意思と、暮らしと、愛がバランスよく表現された作品でした。

 映像がとても綺麗で、大きく綺麗なスクリーンに向いていると思います。専門用語や、最新の学説なども出てきて、わたしにはわからない部分も多かったのですが、そこが分からなくても、ストーリーを楽しむことができると思います。

 

以下ネタバレあり詳細

 

 

 

 

 ノーラン作品ということで、どうかなーと思っていたのですが、意外と愛に力点が置かれていなくて、観やすかったです。バットマン3で結構うううっとなっていたので、ちょっと警戒していたんですけど、「愛」のパワーや「愛」による癒やしを無理やり絡めてくるようなところもありませんでした。おもしろいなーとおもったのは、アメリアが宇宙の力に翻弄され絶望し、何を頼りにすればいいか分からなくなってしまった時に、「データよりも愛の力を信じたい」と言ったのに対し、クーパーは愛よりデータ、個人の愛より人類の可能性を取る、みたいなことを言うシーンなんですが、よくある「女は感情的だからいけない、論理のほうが重要だ」という理由で否定したわけではなさそうだったのが珍しい展開だなと思いました。しかも結局、アメリアの「愛による」選択の方が正しかったし、その後クーパーを救ったのも「愛の力」なので、なんだか「愛の力」を絶対的なものとして描いてるわけじゃないのかな、愛だけじゃどうにもならないし、科学の力だけでもどうにもならない、人間としてどう生きていくのか、という答えのない話を、宇宙空間という特殊な舞台の中でどう描いていくかという作品だったなあと思ったりしました。

愛があっても死ぬときは死ぬよね、どう考えてもこのシチュエーションだったら死ぬもんね!お金や科学があっても無理なものは無理、というあっさりしたところは、そういえばバットマン2でも描かれてました。

 

 ノーランといえばこの人!というくらいノーラン作品に出てくるマイケル・ケインさん、この作品にも出てきています。ブラント教授役。アン・ハサウェイの演じるアメリアのお父さん役です。クーパー親子の方は、父が宇宙、娘が地球、というのに対し、ブラント家は父が地球、娘が宇宙。計画を信じるマーフと、だめだったと諦める教授。ここも対称的でした。

それから、一番賢くて、一番可能性のある星に辿り着いたと言われていたマン博士は、マット・デイモンが演じています。インターステラーでもひとりぼっち役だったんだなって思ってちょっと面白くなりました。今は火星でひとりぼっち芋農家ですもんね。TARSとCASEは動きがちょっと気持ち悪いなあと思っていましたが、ものすごく重要なポジションで、イケメンで、とてもよかったです。

 

 わたしは二回目もみたいな~とまでは思わなかったのですが、評判通り面白い映画だったし、映像も綺麗でした。SF好きな方にはおすすめしたいです。