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「愛の無い映画」

ベッドシーンや恋愛描写が少ない映画を探し求めるブログ

シュガー・ラッシュ

安心度★★★★★ アニメ SF アクション アドベンチャー ファンタジー

シュガー・ラッシュ

 

安心度★★★★★(超安心)

恋愛シーン:少しあり(脇役) キスシーン:あり(脇役) ベッドシーン:なし ジェンダー:問題なし

 

原題「Wreck-It Ralph」(直訳で「壊せラルフ」みたいな意味)

2012年公開 監督:リッチ・ムーア

 

あらすじ

 ゲームセンターの閉店後、ゲームのキャラクターたちは各自意思を持ち、好きなようにゲーム間を移動し、遊んだり交流を深めたりするそんな世界。

 「フィックス・イット・フェリックス」というゲームの中で悪役を演じるラルフは、30年間悪役としてゲームの住人たちに嫌われる生活に嫌気が差し、どうにかヒーローになろうとする。そのためにはヒーローのメダルを獲得しなければならない。そこでラルフは、他のゲームに、そのキャラクターとして潜入する「ターボ」をする。これはゲーム界の禁忌を犯す行動であったが、ラルフは自分の目的のために、電子ウイルスを撃退するシューティングゲーム「ヒーローズ・デューティ」に潜り込み、メダルをゲットする。しかし思わぬトラブルに、お菓子の世界のレースゲーム「シュガー・ラッシュ」の世界に飛ばされてしまう。

 そこで出会ったのは、「バグ」のためレースに出られない、強気で生意気なヴェネロペ。メダルをめぐって二人はいがみあっていたが、最終的に仲間となりレースでの勝利を目指す。

 一方、「フィックス・イット・フェリックス」の世界では、ラルフがいなくなったことによりゲームが正しく進まず、故障・撤去の危機に晒されていた。また、「ヒーローズ・デューティ」でも、ラルフの起こしたトラブルにより逃亡した敵キャラ・サイバグによる世界の危機に晒されていた。そこで各ゲームの主人公フェリックスとカルホーン軍曹は、ラルフを連れ戻し、サイバグを撃退するために、「シュガー・ラッシュ」の世界に向かう。

 ラルフとヴァネロペはレースに勝てるのだろうか。フェリックスとカルホーン軍曹は問題解決ができるのだろうか....

 

感想

 すごく面白かったです!ストーリーも、世界観も、ゲームの仕様・ビジュアルも、キャラクターも、声も、音楽も最高でした。最高!

 恋愛についてですが、主人公が子どもだというのもありますし、テーマが「友情」であることからも、ラルフとヴァネロペの主人公二人には恋愛シーンはありません。ただ、ネタバレになりますが、脇役のフェリックスと軍曹は最終的に恋に落ちます。ものすごく典型的な恋愛シーンの展開なので、特に驚きもなく、あーはいはい、という感じで見られる程度だと思います。また、この恋愛は、フェリックスはどこに行っても「ヒーロー」だ、というキャラクター付けのためにあるのかな、という感じなので、いきなり意味の分からない恋愛シーンを入れられて冷める、ということもないと思います。

それから、「嫌われ者」や「醜男」がみんなに認められ幸せになるストーリーというと、「美女と野獣」や、「シュレック」を想起したんですが、この2作品は「美しい女性」と結婚することで「醜さ」や「不幸」を克服するものであったと思っています。しかし「シュガー・ラッシュ」は、そうではなく、友情や、自分で自分らしさを認めることでハッピーエンドになったというところがいいなと思いました。

 また、ジェンダーの面でも問題はないと思います。ラルフは、子どもで女の子であっても、そのことで相手を軽んじたり、自分のほうが優位だというような態度は取りません。フェリックスも同じです。カルホーンは軍曹ということで非常に強いのですが、それに対して「でも所詮は女性だから守ってあげないと」みたいな、よくある「男性の強さ・優位」を気取ったりしません。相手に助けられるときは素直に助けられるし、自分が相手を助けられる時は助ける、というかんじです。軍曹は実は女性らしい、可愛くて弱い部分も持っていた!みたいな展開もなく、かなり安心出来ると思います。

 というかこの作品は、ジェンダーとかよりも「差別」と「排除」の話なんじゃないかなと思っていて、悪役だから、「バグ」があるから、といってみんなに蔑まれ追い出される様は、見ていて辛くなりました。最終的にはハッピーエンドですが、結構みんなの手のひらの返しようは酷いです。

 

 

 しかし、伏線を全部回収するストーリーやキャラクター、世界観などは本当に素晴らしいです。カーアクション、SF、アドベンチャー、ホラー、かわいいファンタジーなど、色んなジャンルのストーリーを楽しむことが出来ますし、とにかく超おすすめです。エンドロールまで面白いんですよ!

 

以下その他感想

 

 

 

 

 これ、差別の話なんだと思います。あとヴァネロペの方はいじめも関わってくる。ラルフはゲームの中で悪役担当で、醜く、ゲーム内のみんなに嫌われています。ラルフがつらい生活をしていても気にも留めないし、それが当たり前だと思っています。ラルフがみんなと仲良くしたいと思っても、ラルフの話などはじめから聞く気も持っていません。「悪役」だから、嫌われ者で、必要ない存在です。

悪役が嫌われ者なのは他のゲームでも同じようで、悪役が集まってお互い慰め合う会みたいなものも作中で登場します。そのメンバーたちは、口々に「それが自分たちの役割だと割りきって、自分で認めてあげればいい」というんですが、正直悪役であることで傷つくのは、本人の気の持ちようではなく、周りの無理解と偏見のせいだと思います。悪役である自分を認めることで、自分を蔑んだり責めたりすることはなくなるかもしれませんが、周囲の人達が持つ蔑みの気持ちや差別を当たり前だと思う気持ちはなくなりません。誰もラルフの気持ちを考えたことはないんだろうな、なにか起きても全てラルフが悪いと思うんだろうな、ということが、色んな場面でひしひしと感じられます。どこのゲームでも、悪役は悪役だからといって虐げられていて、それが当たり前で、悪役同士でしか対等に付き合えないというのは、差別なんじゃないの、と思ったりしました。

 また、ヴァネロペも同じで、「バグ」がでることでものすごく嫌われていて、ゲームの世界に「悪影響」を及ぼす、「いらない」キャラクターだ、「表に出てくるな」という扱いをされています。こちらのほうは、シュガー・ラッシュの世界の大王によってみんながヴァネロペを嫌うようにプログラムされていたのが原因らしいのですが、それにしたって酷い扱いだなと思いました。完全にいじめです。

 どちらにしろ、「こいつはよくない存在だから酷い扱いをしても構わない」「自分たちとは違うから、相手の気持ちを考える必要もない」「みんなが嫌っていることに疑問を持たずに自分も同じく特定のキャラクターを嫌う」「もしくは居ないものとして扱う」という点で、二人の扱われ方は似ていますし、どちらも差別的な扱いなのではないかと思いました。

 しかし、最後のシーンでラルフの周りの人達の手のひらの返しようは酷い。なんでいきなりああなったのかいまいちよく分かんないです。ラルフも「必要」な存在だと気付いたからなんですかね?あんまりその辺の描写がなかったのでわからないですけど、なんか都合がいいなあとは思いました。

 

それから、「ヒーロー」の話なんですけど、フィックス・イット・フェリックスでのヒーロー・フェリックスは、どこまでいってもヒーローなんですよね。フェリックスの行動に注目すると、彼は仲間を探しに旅に出て、一目惚れをし、いろんな危機を意中の異性と乗り越え、最後には両思い、結婚するという、典型的な「ヒーロー」のストーリーをたどります。それから、最後の方、ラルフと和解し仲間になったみたいな雰囲気になってますけど、彼はきっとラルフのこと理解してません。彼はあくまで「ヒーロー」であり、悪役の気持ちはわからないままなんだと思います。というのも、作中でフェリックスは「こんなに酷い目に遭って」「(好きな)人に嫌われる気持ちなんてわからないんだ」とラルフにいいます。よりにもよってラルフに言うんですよ!それは、30年間ずっと「悪役」ラルフが感じていたことです。それを彼は、「ヒーロー」という立場で味わったんですよね。あくまで「ヒーローの悲劇」です。なんかその辺気にしてみてみると、色々思うところがあったりもするんですけど、まとまらないので今は書けないです。また追記で書くかも。

 

 話は変わりますが、この作品、すっごいプリンセスストーリー?なんです。プリンセスストーリーっていうか、呪われていたり、酷い境遇に置かれていたお姫様が、あるきっかけでお姫様として開花する、成り上がるみたいな、そういうやつなんですけど、従来のプリンセスと圧倒的に違うのは、ヴァネロペはプリンセスになるきっかけを自分で獲得したっていうところ、プリンセスになるために男性や恋は必要ないというところなんですよね。ヴァネロペは実は悪者によって「呪い」をかけられたお姫様なんですけど、自分の努力と根性で手に入れた「優勝」によって「呪い」が解けます。王子様を待っていたわけでもないし、おとなしく、可憐に、弱々しい存在として暮らしていたどころか小賢しい生意気な女の子です。グリム童話みたいなプリンセスストーリーだと、そういう女の子って大体酷い目にあって死ぬんですけど、ヴァネロペは「成功」するんです。でもヴァネロペは、そのプリンセスとしての「成功」も自分のやりたいこととは違うから、といって放棄します。ヴァネロペの中でお姫様になることは重要じゃないんです。プリンセスになって終わり、じゃなくて、ヴァネロペはヴァネロペとして毎日を過ごし、自分の力でやりたいことをやります。

プリンセスものっぽい部分もあるんですが、こういった点がディズニーの昔から有名なプリンセスストーリーとは違っていて、面白いなと思いました。

 

 あと、大王がプログラムの中に入っていくあのシーン、すっごく攻殻機動隊っぽくてなんだか好きです。大王、見た目は昔のディズニーによく出てくる見た目なんですけど、やってることは相当最先端でハイテクなので、そのギャップもちょっと面白かったです。

 

 全体的にほんとうにおもしろかったので、おすすめですよ!